雲南旅情(其之九)〜食事情昆明編(3)

  • 非常にポピュラーな料理をいくつか紹介するとしよう。
  • (1) 鳥の唐揚げ(唐辛子風味):日本のようにお上品な手羽元や骨なしの唐揚げではない。とにかく包丁で叩き割った骨とそれに付随する肉片を唐揚げにしたものである。
  • 赤唐辛子が丸ごと入っており、ビールに最適の一品であるが、口の中を切る恐れがあるので骨のかけらには気をつけよう。
  • 中国ではこのように食べることのできない骨や香辛料も混ざったまま出てくるので、そのような部分は残すことになる。
  • 決して、唐辛子を食べてはいけない>お腹を壊す
  • このような食べ残しは普通皿の上に積み上げていくが、床に捨てるのは別に無作法ではないようだ。
  • (さすがに高級レストランではやらない)
  • ところ変われば様変わるとはまさにこのことである。
  • このような習慣には(おそらく)意味があるのだが、それについては山村における食事のところでコメントしたい。
  • (2) 豆・野菜の炒め物:これは基本的に日本では食べないあるいは栽培されていない種類の野菜が多い。とにかく炒めただけで油が多い。味付けは唐辛子と塩が基本。
  • 非常にシンプルな料理であるが、これが美味しい。
  • 肉は基本的には入っていないが、雲南ハムが入っていることがたまにある。
  • 南部に行くと高菜を味付けに使うことが多くなるし、スダチを絞って酸味を加えることもある。
  • また、落花生をつぶした粉をトッピングすることもある。
  • 大豆は良く食べるみたいで、豆腐はもちろんのこと、豆乳、青豆の炒め物も毎日食べる料理の一つ。

  • 野菜のスープ、豆腐と豆の炒め物、ナッツ・セロリ・パプリカの炒め物。
  • (3) 茸の炒め物:雨季のみのメニューであるが、とても美味しい茸が沢山ある。これを牡蠣油で炒めた料理は最高のご馳走だ。
  • もちろん辛いけどコクがあってご飯がすすむのである。
  • (4) スープ:これは大きなボウルに入って出てくる。暑い日に鍋を食べているようなものであるが、これがまた美味しい。
  • 基本的には野菜(白菜・冬瓜・かぼちゃの葉・茎・など)を煮たもので、味付けのないものと、肉や魚が入っているものに区別される。
  • 後者の場合は味付けがしてあることがあるが、付随して唐辛子など香辛料のパウダーの入った小鉢が出てくるのでそこにスープを入れて液体状にしたものをソースとして好みに応じて自分の器に足す、あるいは食材をつけて食べる。
  • 一度茸のスープを食べたが、まるで松本扉温泉で食べた絶品茸鍋のように美味であった。
  • ご飯にかけて雑炊のようにして食べるとこれまた美味しいのである。
  • (5)麻婆豆腐:お隣四川省の料理かと思いきや、雲南省でもよく食べる料理の一つ。
  • 四川の麻婆豆腐はもっと黒っぽいのであるが、雲南省の麻婆豆腐は比較的赤い。
  • 豆腐は日本の豆腐に良く似たタイプのものと、写真のように平べったいものなど様々。

  • ちょっと変わった麻婆豆腐。

  • 比較的珍しい蒸し豚の甘酢あんかけ。
  • 中国では肉は基本的に鶏肉であるが、次いで豚肉、牛肉は稀である。
  • 豚肉は日本のように形ロースなんて食べない(高価で、一般の人の口には入らないのか?)
  • 沖縄同様、豚足(ティビチ)、豚皮、そして耳(ミミガー)のようなものが良く出てくる。
  • 牛肉は水牛の肉なのだろうか?辛いジャーキーをバラバラにして野菜炒めに入っていることが多い。
  • 魚の種類は豊富であるが、サメのように鼻先のとがった魚が白身で美味しかった。
  • なまずもご馳走のようである。
  • 食事が終わると、爪楊枝を使うことがあるが、中国の爪楊枝は両端が尖がっていて、材質は竹が一般的のように思われる。
  • ちなみに、中国には「いただきます」「ごちそうさまでした」に相当する言葉はないみたい。
  • とまあ、このようにとにかく辛くて辛くて唇が腫れるような辛い料理が多いのであるが、私は雲南の料理はまったく抵抗がないどころか、日本に戻ってからも毎日食べたいと思うほどである。
  • ラードゥアスワン!(意味は「辛いけど美味しい!!」)
  • これが我々の合言葉である。
  • スワンという言葉は漢字が分からないのであるが、最高という意味らしい。
  • 南部の方言のようで北部の人には良く分からない言葉だといっていた。
  • 気温も湿度も高い昆明ではたいていのレストランでは窓は開けっ放しで、風通しを良くしている。
  • 辛い料理で汗をかいた体にそよ風が気持ちいい。